003. ガルシア=マルケス

作家ガルシア=マルケスが亡くなりました。

代表作『百年の孤独』は、ぼくにとって特別な一冊。これを読み、“神話構造を利用した構造主義的な作品がある”ということを強く意識するようになりました。

物語の中の登場人物による個別のさまざまな出来事がおこっているように思えても、実は無意識のうちに人々が求めている世の中の“構造”にしたがって、延々と同じような物語が繰り返されている。淘汰され、人が求めたものだけが神話として世界各地に残っている―。

父殺しで有名な「オイディプス王」の神話は、政権交代を望む民衆の欲望のあらわれであり、そんな神話構造を学んで成功したのがジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」なのは有名な話。アンゲロプロスの映画「旅芸人の記録」や、鳥山明の「ドラゴンボール」、橋田壽賀子の「渡る世間は鬼ばかり」なんかも(意図したかどうかはわかりませんが…)同じく“構造”を利用した作品でしょう。

『百年の孤独』では、架空の村マコンドの100年にわたる盛衰が描かれており、登場人物が同じ名前ばかり(←これが上手い)なのもあいまって、同じようなことの繰り返し。読み終えたときは100年分全部まとめて融け合ってひとつになったような、終了と同時に細部が消えてなくなるような、不思議な感覚。ここちよい疲労感が味わえる。

これから書店ではガルシア=マルケス追悼コーナーができるでしょうから、これをきっかけにハマっていく人も増えるのではないでしょうか。幸い他にも名作がたくさんある作家なので、これから未読の作品をゆっくり楽しませてもらおうと思います。

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