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陶器人形のようなつるりとした肌に、長い首と指、細い腰。
緩やかな曲線で描かれた女性は、夢のように甘美な風貌です。

こんにちは! スタッフHです。
大阪・あべのハルカス美術館で開催中の、『東郷青児展』に行ってきました。
個性的にデフォルメ化された女性像で、昭和の美人画家として一世を風靡した東郷青児は、2017年で生誕120年だそうです。回顧展は2017年の夏・広島から始まり、東京・福岡を経て、大阪で最後ラスト。

あべのハルカス16階の美術館なので、眺望がみごとです。

“青児美人”にいたるまで

ポスターやチラシに使用されている、この絵のタイトルは『望郷』。
展覧会のメインの一つです。

物思いに耽る少女が描かれていて、あわいグレートーンがまあ美しい。『望郷』もそうなのですが、東郷青児の女性って幼い印象が多いんですよね。
別に少女趣味というわけではなく、展示されていた本人の言葉によると、東郷は「人間的な欲望のない無表情」を好んだそう。 だから、空想する純粋な少女のようになってしまうのではないか、と。
なるほど! と思いました。

上品で色気はあるけど、生々しい肉体は遠い。
浮世離れした、妖精みたいな女性ばかりです。

展覧会の副題は「夢と現(うつつ)の女たち」。
展示のほとんどが女性画です。

東郷の描いた女性は“青児美人”と呼ばれているそうなのですが、ポスターのコピー『青児美人のできるまで』の通り、そのスタイルが確立するまでを絵と彼の言葉でひもといていく、というコンセプトのようです。
解説が丁寧で、親切な展示でした。

『海の幸』『山の幸』は藤田嗣治との競作。同じテーマでも、タッチの差が顕著で面白いです。
どーんと大きな絵が2つ並べて飾ってあるのは見ものでした!


ちなみに。
東郷青児の写真も展示されているのですが、端正な顔立ちの青年で、非常にモテたそうです。
金持ちしか買えない高級下駄をお姉さまに買ってもらったり、カフェで一度もお勘定をしたことがない(!)というエピソードもお持ち。女性店員たちに、とっても歓迎されていたそうで。

恋多き人生で、3度結婚し心中未遂もしたとか……
そんな東郷の恋愛学を語った「戀愛譚」もミュージアムショップにおいて置いてあるので、ぜひご覧になってみてください。

『生誕120年  東郷青児展 夢と現(うつつ)の女たち』
あべのハルカス美術館 にて、4月15日まで

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